訝しげに向けられるクラスメイト達の視線が、背中にぐさぐさと刺さる。普段こんな場を和ませてくれる山本は、とうに部活へ行ってしまった。
つまり、この場は自分でどうにかせねばならないということだ。
取り敢えず顔を上げさせ、二人分の鞄と彼の手を掴んで居心地の悪くなった教室を後にする。
そのまま逃げるように玄関まで走り、下駄箱の前で立ち止まった。荒い息を整えながら獄寺君の顔を見上げれば、当の彼は涼しい顔。分かってるけどね、この程度走ったくらいで息が上がっちゃうオレの方が駄目なんだってこと。
それでも不条理なものを感じてしまうのは、人として仕方がないことだと思う。いや、これすら否定されたらどうすればいいんだ。
いや、それより、問題は先程の、獄寺君の言葉。
別に一緒に帰れなくてもオレとしては全く問題がないどころか、何が起こるかとドキドキハラハラせずに済んで何よりなんだけど。
それでも普段の彼の態度を知っているオレとしては、一体何が起こっているのか気になってしまう。ボンゴレがらみの事情だったりしたら、最終的にオレに面倒事が回ってくる可能性だってあるんだし。
獄寺君は口を噤んでるけれど、彼はオレが強く言えば逆らえない。これも、知りたくもないけれど、十分に知りすぎている事実。案の定、今回もじっと睨むように見れば、10秒と持たずに陥落。
言い難そうに告げられた理由。それは、買い物があるんです、と一言。ちょっと色々買い足さなきゃいけないものがありまして、と続けられた言葉に、好奇心が刺激される。
獄寺君はオレのことを色々知っているけれど、俺は獄寺君のことを全然知らない。どんな所に買い物に行って、どんなものを選ぶのか。
だから同行を申し出ると、獄寺君は「そんな!オレなんかの雑事に十代目のお時間を頂くわけにはいきません!!」と全力で拒否。そんなこと言われたら余計に気になるじゃないか。
まあいい、獄寺君がどれだけ拒もうと、オレが望めば彼はすぐに折れるんだから。
そんな内心を押し隠して、再び彼を見上げる。ぎくりとたじろぐ彼。
獄寺君が折れるまで、あと10秒。
12. 一緒に買い物
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