「つまり、この法案の意図は ――― 」

 耳から入ってくる情報を、頭の中で整理し、体系だてようとしているのに上手くいかない。
 そんな秀麗の表情に気付いたのか、絳攸は一度言葉を切る。今までのところで質問は、と問えば少し時間を下さいと答えが返ってくる。焦ることはない、と悩むその頭に手を置くと、茶でも貰ってくると言い置いて絳攸は秀麗の自室から出て行った。

 その後姿を見ながら、秀麗は思わず溜息を吐く。絳攸が国試に及第したのは十六歳 ――― 今の秀麗と同じくらいの頃のことだ。
 つまり、絳攸は今の秀麗の歳の頃には、当然今自分が分からないでいることも理解出来ていたという訳で。

「うぅ……」

 自分と彼では状況が違いすぎるのだから、比べてもどうしようもないことだとは思うのだけれど、つい、こういうときには考えてしまう。絳攸を師と仰ぎ、教えを乞えている身だからこそ、自分の拙さに嫌気が差す。
 もっと、もっと ―――

「……あら?」

 ふと目を落とした書簡。
 先程は見落としていた記述が目に留まった。

「ていうことは……あ……あ、あぁ!!」

 かちり、と。バラバラだった欠片が、音をたてて綺麗に組み上げられていく感覚。全てが自分の中ですっきりと整理された。

 そうだ、焦ることはない。こうやって、今この瞬間だって少しずつ前に進めているのだから。
 扉の開く音に振り返ると、茶器を載せた盆を手にした絳攸が立っていた。秀麗の嬉しそうな表情に状況を読み取ったのか、絳攸も僅かに微笑んでみせた。


14. 勉強を教えてもらう
彩雲国より、オトモダチに捧げた師弟コンビ。
この二人好きです。これは一応コンビで。や、カプでもいけますけど!
長くなりそうだったので、微妙な尻切れ振りです。ぎゃふん。


Back