普段は太陽の光のように輝いている金の髪が、濡れて暗い色へと変わってしまっている。それが、まるで今の俯いたままの君の心情を表しているようで。どうにかそれを拭い去りたくて、手にしているタオルでその髪を拭く。
 こんなものでは、どうにも出来ないことなど分かっているのに。

 君は何も言わないけれど、何があったか私は知っている。私の、「国軍大佐」としての力ならば、どうにでも出来ることだと。
 けれど、・・・・・いや、だからこそ。それは君とその当事者たちとの問題だと。私が関わることを君が許しはしないことも分かってしまっているから。

 私には、何も出来ない。
 ただ黙って見守って、君が自分で消化するのを待つしかないのだ。


 粗方水気が拭き取れたことを確認してから、タオルを下ろす。それでもその顔は俯いたまま。僅かに覗いている瞳が、常のような強さを失っていることに胸を締め付けられる。
 そう思うのに、やはり私に出来ることは何もなくて。ただ、手の中のタオルを握り締めて、雨に濡れる窓の外を見やる。

 早く止んでくれないだろうか。

 止んだところで、この子供があの笑顔を見せてくれるなんてことはないのに。
 そう、強く願った。


1. 暗い色を湛えた瞳に、睫毛が影を落としている