ずっと変わらない、ルークがガイに向けるその言葉。幼い頃からずっとだ。ヴァンに心酔して罪を犯し、自身の生について苦しみ続けているときでさえずっと。
 その言葉は、ルークからの、ガイへの許しだった。

 小さいことでも大きいことでも、どんなことで二人が仲違いしようと、ルークがその言葉をガイに言えばそれで終わりだった。それはガイが折れるという意味ではない。ルークが、ガイを許したということなのだ。
 例えどんなにガイに非があったとしても、ルークはその言葉一つで簡単に帳消しにしてしまう。その後は、それまでの諍いなどなかったかのように振る舞うのだ。もしかしたら、自分がルークを殺そうとしたとしても、その言葉一つでなかったことにするんじゃないかとガイに思わせた程だ。

 幼い頃から現在まで、幾度となくルークはガイに傷付けられてきた筈だ。少なくともガイはそう考えている。ルークは逆だと主張するかもしれないが、ガイによってルークが一度も傷付けられたことがないなんて嘘だ。ガイはずっと、心の中でとはいえ、ルークを否定し続けていたのだから。
 そんなガイを、ルークはたった一言で許してみせる。救ってみせる。

 今だってそうだ。ルークを傷付けるだけ傷付けておきながら、もう傷付けたくない、守りたい、そんなおこがましいこと思ったくせに。苦しんでいるルークにガイは何も出来ない。泣くルークを見ているしか出来ない。
 傷付けることしかできないくせに、傍から離れられない。

 それでも、ルークはガイを許すのだろう。傍にいることを許すのだろう。
 自分が辛くても。苦しくても。そのたった一言で。

 それに甘えて、ガイはまた手を伸ばす。その手が微かに震えていることに気付いたルークは、またその言葉を告げた。



(どれだけ謝ったって足りない)


3. ばーか