自分が悪いのだと理解していて、泣くなんて許されないと知っているのに、優しくされると却って泣きたくなる。
 それは相手が誰であっても同じだ。ティアでもミュウでも、それはないだろうと思うけれど、それがジェイドであっても、自分は同じように泣きたくなるのだろうとルークは思う。

 だが、相手がガイのときだけは勝手が違う。泣きたくなるなんていうレベルじゃない。他の人相手なら、それでも泣いちゃいけない、心配かけないように笑わないと、と思えるのに、ガイ相手のときだけはそれが出来ない。縋りついて、頑是ない子供のように泣き叫びたくなる。どうしようもなく、涙が溢れてくるのだ。

 そう、だからガイが泣いているルークにかけるその言葉は、ルークにとって逆効果でしかない。そんなこと言われても、泣かせているのはお前だろ、そう言い返してやりたい。

 でもガイが困っているのが分かるから、どうにか泣き止もうとするのだけれど、そんなときに限ってガイはルークの頭を優しく撫でてくる。
 本人は泣き止ませようとしているのだろうと思うのだが、これも逆効果だ。そうやって体温を感じさせられたら泣き止める訳がない。

 本当は、ずっとガイにそうやっていて欲しいと思っている自分にルークは気付いている。だからこんな風に泣くのは引き止めているみたいで嫌なのに、涙はどうしても止まってくれない。
 呼吸だけでも整えようとするが、咽喉が震えるだけで上手く空気を吸い込めない。却ってしゃくりあげるような声が漏れてしまう。

 必死なルークを見て、またガイはその言葉を紡ぐ。優しく髪を梳いてくる。

 もう、どうしようもない。ガイがそうやって傍で泣き止ませようとする限り、ルークは泣き止むことなど出来ないのだ。
 困り果て、それでも離れてはいかない温もりに身を委ねて目を閉じたルークの頬を、また一粒の涙が滑り落ちていった。



(それを許してくれるきみだから)


5. 泣くなよ