久しぶりに訪れた司令部だが、馴染みの軍人達への挨拶もそこそこにエドワードはロイの執務室へと向かっていた。今回も、顔を合わせるなり"大佐は執務室"と言われる恒例行事に見舞われたからだ。
 最初の頃こそ、自身の弟を含めた気の利き過ぎる彼らの気遣いに反発したものだが、今では開き直ることにしている。恥じらおうと否定しようと、エドワードとロイの関係を知っている彼らには無意味なのだと思い知っているからだ。


(……早く会いたい、っていうのも間違いじゃないし)


 誰にも、ロイにも弟にも聞かせることのない本音を心の内だけで呟いて、無機質な廊下を急ぐ。
 早く会ってその顔を見て、ある一つの問いをロイにしたい。そうしてやっと、エドワードは彼の元に戻ってきたのだと感じることが出来るのだ。

 そう、エドワードには、ロイと再会する度に繰り返している問いがある。
 人によっては、その問いを揶揄っているのかと思う人もいるかもしれない。しかし、揶揄うとか、そんな意図はエドワードにはない。そのつもりでいたとしても、大人のロイは躊躇いも無く肯定を返してくるに決まっている。
 だから、この問いをエドワードが投げかけるのは、確認ですらないのだ。言うなれば、離れていた間も自分を目の前の人が想っていてくれたという事実を実感したいのだ。

 自分は素直でない上に、想いを言葉にすることもほとんどない癖に狡いとは思うが、そこは大人の度量とかそんなもので許してもらおう。

 そう決めて、辿り着いたドアを開く。その音で弾かれたように顔を上げたロイの表情が驚きから安堵へと変わるのを見れば、自然と顔が綻んでしまう。
 数か月ぶりに触れる温もりに包まれながら、いつもと同じことを問いかける。微笑みと共に降ってくる答えを、自身も笑顔のままエドワードは待った。



(それはオレも同じだよ)


2. オレがいなくて、さみしかった?