高くて景色のいい場所。それがルークのお気に入りの場所の条件だ。
 そして、泣きたいときに訪れる場所の条件でもある。

 その条件を満たす場所を探して、ガイは見知らぬ街を歩く。土地勘がない所為か、なかなか見つからないことに思わず溜め息が零れた。正確には、探しているのはその場所ではなく、その場所にいるだろう彼なのだけれど。
 初めて訪れた街という条件は同じ、方向感覚でいうなら圧倒的にガイの方が有利なのに、こういった"秘密の場所"を探すのは昔からルークの方が得意だった。まるで猫が家の中で一番日当たりのいい場所を知っているかのように、ルークも本能のようにその場所を探し当てるのだ。
 だが、ガイとてそうやってすぐ何処かへ行ってしまうルークを昔から探し続けてきたのだ。この街でも、既にいくつか目星は付けてある。2回目の外れにまた溜め息を吐きつつ、次の場所へ向かうべく踵を返した。

 5か所目にして、やっとその姿を見つけた。辺りを見渡せば、確かに今までの4か所より格段に景色がいい。
 そこの大きな木の根元に蹲るようにしてルークはいた。

 小さくその肩を震わせている。やはり泣いていた。
 一人で泣かないでくれ、頼ってくれと何度ガイがルークに言っても、ルークは一人で泣く。それは咎人であるという罪の意識からでもあるが、自分に対する遠慮もあるとガイは知っている。
 それを知ってから、ガイはもう迷うことなくルークを甘えさせようと決めた。一人なのだと思って欲しくなかった。自分にだけはいつだって頼っていいのだと、甘えていいのだと分かってもらいたかった。

 だから今もまたガイはその緋色の髪を梳く。そっと頭をなでると、ゆっくりとルークが顔を上げる。綺麗な翡翠の瞳には、泣いていた所為で赤が差していた。
 それに優しく微笑みかける。


「いつだって俺を頼れよ。それがお前なら構わないよ」


 続けた言葉に、不安や懺悔ではない涙がルークの頬を濡らした。



(だから、いつでもおいで)


5. いつでも甘えられる準備はしてあるんだよ