空回りサイクル
「あー!! やっぱ大好きだ!!」


 本当に、本当に満足そうな顔で、目の前に居るルークは手にしたスプーンを握り締めた。
 自分とルークの間にあるテーブルの上には、自分が頼んだコーヒーと、それと。こんもりと、自分なら絶対に食べきれないと思うほどにフルーツやらクリームやらアイスやらが盛られたパフェ。

 女性陣なら全員食べきれるのだろうかとか、いやジェイドはきっと顔色一つ変えずに食べきるとか。
 ……多分、これがバレたら、ティアあたりにルークをまた甘やかして!なんて怒られるんだろうな、とか。
 そんなことが頭を過ぎるが、こんな笑顔をされては、それくらい良いか、と思ってしまう。それが甘いだの親馬鹿だの言われる原因だってことは分かってるんだけどな。もはや身についてしまった性分は仕方ない。

 好きだ、ってルークが言ってくれるなら何でもしてやりたいと思ってしまうんだから。
 その"好き"が向けられたのは甘いものだったり珍しいものだったり綺麗な景色だったりで、自分に向けられたものではないことは分かっていても。それでもその言葉が聴けるのなら。


 ……いや、欲を言えば、言って欲しいことは欲しいに決まってる。
 ルークが少し頬染めたりなんかしながら、「俺…ガイが好き……」なんてことを言ってくれたりしたら、俺は間違いなくその場でルークを押し倒すぞ。犯罪者だろうと変質者だろうと、どんな誹りだって受けてやる。
 ―――― それが、ルーク以外の人間の言葉なら。

 そう、つまるところ、俺がこんな立場に甘んじているのはそういうことだ。
 ルークがその気になってくれないから、というのは情けないが仕方ない。なんていったって、中身はまだ7歳の子供なんだ。あぁ今だって。食べることにばかり集中しているから、他のことに気がてんで廻っていない。


「ルーク、クリーム付いてるぞ」


 苦笑しながらその頬に指で触れ、掬い取ったクリームを舐め取る。
 ……やっぱり甘い。よく食べれるな、これをこんな量……。

 ふと視線を向けたルークの顔が何処か赤い気がしたが、きっと急にやってきたこの陽気の所為だろう、と結論付けた。





策士の振りして華麗に鈍いガイ様。
自分では、帰ったら母親に怒られることは分かってるけどついつい子供にお菓子を買い与えちゃう父親のつもりなんですよ、きっと(何)。