きっと、いつだって俺は間違っていたんだろう。
 手を離すべきときに離せず。離すべきではないときに離して。

 だから、"これ"は。受け入れなければならないことなのだろう。



 ルークが、変わった。それは、世界を知ったとか罪を背負ってしまったとかそういったことからではない気がした。
 だって、きっとこいつの本質は何も変わっていない。不器用だけど優しくて、人のことをよく見ていて。少し感情をコントロールすることを憶えて、上手く表現する方法を知っただけだ。
 だから、ルーク自身は何も変わってはいないのだろう。ましてや、ジェイドに揶揄されるような"親離れ"でもない。"これ"は、きっとそんなものじゃないのだろう。


「ルーク」


 呼べばすぐ振り向く。笑って、何?、と問いかけてきて。それは、今までと何も変わらないやり取り。他の仲間の誰一人だって何の違和感も感じてはいないだろう。

 だが、確実に違う。

 こいつは、こんな笑い方をする奴じゃなかった。
 何かを隠し、取り繕うような、そんな笑い方を。

 訝しげに首を傾げるルークに、何でもないよと返せば不思議そうな顔をしながらも離れていった。そのまま、ミュウを預けていたティアの側へと歩いていく。ルークに気付いたミュウは、嬉しそうにティアの腕からルークの肩へと飛び移った。
 ミュウを受け止めたルークの横顔を見て、あぁ、と。何だか妙に納得してしまった。

 ルークがミュウとティアに見せていた笑顔、それこそが今まで自分に向けられていた笑顔だったから。
 翳りのない、心からの素直な笑顔。


 これは、きっと当然なのだろう。

 本当ならば、少しずつ手を離して一人で立てるようにしなければならなかったのを、独り善がりとしかいえない感情で以って繋ぎとめて。その結果引き起こされた惨劇に、何も言わず突き放すように手を離して。
 手を離すべきときに離せず、離すべきでないときに離してしまった自分。絶望の底にいたルークを救い、守り、立ち上がらせたのは彼女達だった。

 絶対の信頼を以って側に居続けたミュウ。
 叱咤し、けれど正しく彼を導こうとしたティア。

 未だ自責の念に苛まれているルークが、それでも笑える場所は彼女達の隣になったのだ。自分の、隣ではなく。


 胸の軋みを、拳を握り締めることでやり過ごす。
 きっと、俺はずっと間違えてきたのだろう。あいつの側にいる方法を。そのタイミングを。そして、今回もきっと、間違えたのだ。
 絶対的に、致命的な間違い。これはその結果なのだ。だから自分は受け入れなければならない。

 今更失ったものの大きさに気付いたところで、どれだけ乞うてもこの手に戻りはしないのだから。


2. 泣いて泣いて乞うても
アクゼリュスの後一人置いていかれて、ガイの本意をアッシュの中から見て知っていたとはいえ、そのことにやっぱりルークが傷付かない訳はないと思うのですよ。
ので、わだかまりとはいかないまでも、ガイに対する気負いみたいなものがあるんじゃないかな、とか。うん。


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