兎虎・本編で虎徹さんからバニーちゃんへの能力減退告白がある前にやっとこうなネタ
ぎしり、硬い壁に押し付けられた背が軋む。掴み上げられた胸元も、手加減なんて一切されてない所為でかなり息苦しい。でも、力を込めすぎて白くなってしまっている手を払いのけることは出来ない。しては、いけない。
こんな行動を彼にさせてしまっているのは、紛れも無く自分なのだから。
「……なんで、なんで……辞める、なんて……ッ」
搾り出すような声。それを受け止めて静かに瞼を下ろす。贖罪――これはそんな大層なもんじゃない。
だって俺は、また彼を突き放す言葉を吐き出す。
「もう、お前一人でも十分にやっていけるだろ。大丈夫だ」
「そんなこと、言わないで下さいッ! 僕、僕は、まだ」
「大丈夫だよ、お前なら。なぁ、バーナビー」
ほとんど呼んだことのない彼の名を呼ぶと、綺麗な翡翠の瞳が大きく見開かれた。聡い彼のことだ、呼び名だけで気付いたのだろう。俺が、彼との間に壁を作ろうとしていることに。
端正な顔が、また泣きそうに歪められる。
あぁ、そんな顔するなよ。すぐに忘れるさ、こんなおじさんのことなんか。
さすがにその酷すぎる言葉は飲み込んで、優しくその頭を撫でる。大丈夫、大丈夫、との想いを込めて。
「あなたまで……僕を置いていくんですか……」
呟くように吐き出された小さな声に、何か返そうと口を開けば、噛み付くようなキスで言葉を遮られる。縋るようなそれは、こちらの弁明など聞く気がないことを示していた。
「……嫌、です……僕を……一人にしないで、ください……ッ」
キスの合間に紡がれる言葉は、痛いくらいに俺の胸を刔る。
知ってる、分かってるよバニー。お前がどれくらい俺のことを好きかなんて。大切に思ってるかなんて。分かってない訳、ないだろ。
でも、駄目なんだ。もう俺はヒーローにはなれない。お前の隣にはいられないんだ。離れたくないのに、お前にこんな表情させたくないのに、どうして上手くいかないんだろうな。
彼に伸ばしかけた手を躊躇ってから降ろす。翡翠の瞳が絶望に染まっていくが、いなくなる俺には、視線を逸らすしか出来なかった。
こんな行動を彼にさせてしまっているのは、紛れも無く自分なのだから。
「……なんで、なんで……辞める、なんて……ッ」
搾り出すような声。それを受け止めて静かに瞼を下ろす。贖罪――これはそんな大層なもんじゃない。
だって俺は、また彼を突き放す言葉を吐き出す。
「もう、お前一人でも十分にやっていけるだろ。大丈夫だ」
「そんなこと、言わないで下さいッ! 僕、僕は、まだ」
「大丈夫だよ、お前なら。なぁ、バーナビー」
ほとんど呼んだことのない彼の名を呼ぶと、綺麗な翡翠の瞳が大きく見開かれた。聡い彼のことだ、呼び名だけで気付いたのだろう。俺が、彼との間に壁を作ろうとしていることに。
端正な顔が、また泣きそうに歪められる。
あぁ、そんな顔するなよ。すぐに忘れるさ、こんなおじさんのことなんか。
さすがにその酷すぎる言葉は飲み込んで、優しくその頭を撫でる。大丈夫、大丈夫、との想いを込めて。
「あなたまで……僕を置いていくんですか……」
呟くように吐き出された小さな声に、何か返そうと口を開けば、噛み付くようなキスで言葉を遮られる。縋るようなそれは、こちらの弁明など聞く気がないことを示していた。
「……嫌、です……僕を……一人にしないで、ください……ッ」
キスの合間に紡がれる言葉は、痛いくらいに俺の胸を刔る。
知ってる、分かってるよバニー。お前がどれくらい俺のことを好きかなんて。大切に思ってるかなんて。分かってない訳、ないだろ。
でも、駄目なんだ。もう俺はヒーローにはなれない。お前の隣にはいられないんだ。離れたくないのに、お前にこんな表情させたくないのに、どうして上手くいかないんだろうな。
彼に伸ばしかけた手を躊躇ってから降ろす。翡翠の瞳が絶望に染まっていくが、いなくなる俺には、視線を逸らすしか出来なかった。
バニーちゃんはこれくらい言って欲しいという妄想。本編では虎徹さんの葛藤の中にバニーちゃんが掠りもしないのが切ない。
兎虎・8月21日ネタ
ぎゅ。
そんな可愛らしい擬音が似合いそうな様子で、僕の後ろから虎徹さんが抱き着いてきた。場所は僕の家のリビング、その中央の段差部分に座らされた僕を、僕より一段高い床に座った虎徹さんが抱き締めている。現在の二人は、虎徹さんの細い足の間に僕の体が収まっている状態。僕の腰に、そのすらりとした腕が回されている。当の虎徹さんの機嫌は何故か上々。
そんなよく分からない状況に、僕は心の内で首を傾げた。
虎徹さんは、酔っているときは別として、あまり僕と触れ合いたがらない。この表現は語弊があるかもしれないが、今のようにお互いくっついているよりは、少し離れた距離で存在を感じるくらいを好む。
もっとも、それは『くっつく=僕が良からぬことに及ぶ』と散々経験させたからではあるが。
それはさておき、素面の彼がこんな行動に出ることは珍しい。今朝出社してから今までずっと時間を共にしてきたが、ここまで上機嫌になるようなことはあっただろうか。思い当たらない。
虎徹さんから触れてきてくれるなんて状況に僕が不満を抱く訳はなく、本当はその理由なんてどうでもいい。だが、僕の希望としては、どちらかといえば逆の立場でお願いしたい。僕の方が虎徹さんを抱き締めたいのだ。なのに態勢を入れ替えようとするとやんわり拒否されるとなれば、その理由を気にしない訳にはいかない。
「今日は機嫌が良いですね。どうしたんですか」
「ん? まあな、なんたって今日はバニーちゃんの日だからな」
思いもかけない答えに、僕は目を丸くした。僕の日、とはどういう意味だ。
相変わらず機嫌が良いままの虎徹さんは、嬉しそうに説明を始める。
「語呂合わせってやつだよ。日本語だと、8月21日は『バニー』って読めんの」
そういうものなのか。よく分からないなりに納得しようとした途端、虎徹さんは爆弾を落とす。
「だから、バニーちゃんを目一杯甘やかしてやろうと思って」
「………………は?」
あぁ駄目だ。ついに耐え切れず間抜けな声を上げてしまった。
甘やかす? あなたが? 僕、を?
疑問符だらけの僕に、少し困ったような顔で虎徹さんか笑う。
「いや、だってよ、誕生日のときは失敗しちまったしさ」
「あぁ……確かにあのときは散々でしたね。変な演技してるわ、本物の強盗犯に遭うわ……極めつけは、ポイントのプレゼントでしたか」
「だから悪かったって。……まぁその分、今日甘やかしてやろうってだけだ」
甘やかす。だからこの態勢なのか。
ようやく合点がいった。ならば、いつまでもこの状態に甘んじる理由だってない。
「……なら、僕は今度こそ貰えるんですね」
「ん? 何を?」
全く分かっていない様子の虎徹さんの顔を引き寄せ、その耳元に唇を寄せる。触れるか触れないか、ギリギリの距離。そこで、彼が弱い、低く掠れた声で囁く。
「……プレゼントはあなた、でしょう?」
その言葉にびくりと虎徹さんの体が震えた隙に、自分の体を反転させて彼と向き合う。段差の所為で、少し見上げた先にある虎徹さんの頬は真っ赤に染まっていた。
あぁ、なんて幸せなんだろう。こんなにも僕のことを大切に思ってくれる人がいる。
貰っても良いですかと問えば、もうとっくにやってるだろと返ってくる。
有りったけの感謝と愛しさを込めて口付けを落とせば、触れたそれは泣きたくなるくらいに温かかった。
(それは幸せの温度)
そんな可愛らしい擬音が似合いそうな様子で、僕の後ろから虎徹さんが抱き着いてきた。場所は僕の家のリビング、その中央の段差部分に座らされた僕を、僕より一段高い床に座った虎徹さんが抱き締めている。現在の二人は、虎徹さんの細い足の間に僕の体が収まっている状態。僕の腰に、そのすらりとした腕が回されている。当の虎徹さんの機嫌は何故か上々。
そんなよく分からない状況に、僕は心の内で首を傾げた。
虎徹さんは、酔っているときは別として、あまり僕と触れ合いたがらない。この表現は語弊があるかもしれないが、今のようにお互いくっついているよりは、少し離れた距離で存在を感じるくらいを好む。
もっとも、それは『くっつく=僕が良からぬことに及ぶ』と散々経験させたからではあるが。
それはさておき、素面の彼がこんな行動に出ることは珍しい。今朝出社してから今までずっと時間を共にしてきたが、ここまで上機嫌になるようなことはあっただろうか。思い当たらない。
虎徹さんから触れてきてくれるなんて状況に僕が不満を抱く訳はなく、本当はその理由なんてどうでもいい。だが、僕の希望としては、どちらかといえば逆の立場でお願いしたい。僕の方が虎徹さんを抱き締めたいのだ。なのに態勢を入れ替えようとするとやんわり拒否されるとなれば、その理由を気にしない訳にはいかない。
「今日は機嫌が良いですね。どうしたんですか」
「ん? まあな、なんたって今日はバニーちゃんの日だからな」
思いもかけない答えに、僕は目を丸くした。僕の日、とはどういう意味だ。
相変わらず機嫌が良いままの虎徹さんは、嬉しそうに説明を始める。
「語呂合わせってやつだよ。日本語だと、8月21日は『バニー』って読めんの」
そういうものなのか。よく分からないなりに納得しようとした途端、虎徹さんは爆弾を落とす。
「だから、バニーちゃんを目一杯甘やかしてやろうと思って」
「………………は?」
あぁ駄目だ。ついに耐え切れず間抜けな声を上げてしまった。
甘やかす? あなたが? 僕、を?
疑問符だらけの僕に、少し困ったような顔で虎徹さんか笑う。
「いや、だってよ、誕生日のときは失敗しちまったしさ」
「あぁ……確かにあのときは散々でしたね。変な演技してるわ、本物の強盗犯に遭うわ……極めつけは、ポイントのプレゼントでしたか」
「だから悪かったって。……まぁその分、今日甘やかしてやろうってだけだ」
甘やかす。だからこの態勢なのか。
ようやく合点がいった。ならば、いつまでもこの状態に甘んじる理由だってない。
「……なら、僕は今度こそ貰えるんですね」
「ん? 何を?」
全く分かっていない様子の虎徹さんの顔を引き寄せ、その耳元に唇を寄せる。触れるか触れないか、ギリギリの距離。そこで、彼が弱い、低く掠れた声で囁く。
「……プレゼントはあなた、でしょう?」
その言葉にびくりと虎徹さんの体が震えた隙に、自分の体を反転させて彼と向き合う。段差の所為で、少し見上げた先にある虎徹さんの頬は真っ赤に染まっていた。
あぁ、なんて幸せなんだろう。こんなにも僕のことを大切に思ってくれる人がいる。
貰っても良いですかと問えば、もうとっくにやってるだろと返ってくる。
有りったけの感謝と愛しさを込めて口付けを落とせば、触れたそれは泣きたくなるくらいに温かかった。
バニーちゃんの日なのでバニーちゃんが愛されて幸せな話を!と頑張った結果がこれです。
篠原には、糖度はこれが限界値です……。
篠原には、糖度はこれが限界値です……。
兎虎
カシャカシャという連続音と光の洪水。既に慣れてしまったそれらに、バーナビーは完璧な作り笑顔を向ける。小さな感嘆の息の後に続けられた、カメラマンのお疲れ様の一言で現場の空気が柔らかく緩んだ。
撮影のセットから下りると、すかさず若い女性スタッフがタオルとミネラルウォーターのボトルを手に駆け寄って来る。頬を染めている彼女に営業用と揶揄される笑顔で対応し、礼を言ってそれらを受け取った。それが作り物だと気付かない彼女は今日の撮影を褒めちぎるが、バーナビーからすれば苦笑しか出てこない。
どうしたものかと考えていると、撤収を始めていた他のスタッフが彼女の名を呼んだ。彼女はもう少しバーナビーと言葉を交わしたいのだろうが、他のスタッフに呼ばれればそういう訳にもいかない。名残惜しそうに背を向けた彼女を見送りながら、心の内では彼女を呼んだスタッフに感謝する。
グラビア撮影の仕事も続けていく以上、カメラマンだけでなく、周囲のスタッフ達との関係を円滑にしておくことが重要なのは分かっている。だが、自身の想い人である虎徹以外にかけなければならない時間は、短ければ短い程良い、というのがバーナビーの偽らざる本心だった。
広くはないスタジオ内に視線を巡らせると、隅に設けられたソファーにその姿はあった。先に撮影が終わってしまって暇を持て余していたのだろう、その表情はどことなく不機嫌そうだ。そんな虎徹を見て、バーナビーの表情は思わず綻んだ。撮影用でも営業用でもない、自然な心からの笑顔を浮かべながら彼の元へ歩み寄る。
「お待たせしました。もう帰れますよ、虎徹さん」
「……………おう」
返された低い声に、おやと思う。確かにかなりの時間待たせてしまったが、それはいつものことだ。虎徹ももう諦めていて、撮影の仕事は嫌だとか減らしてほしいとか愚痴ることはあれど、ここまで機嫌を損ねることは最近はなくなっていたというのに。
そんなバーナビーの疑問を感じ取ったのだろう、言いにくそうに口ごもりながらも虎徹は言葉を発する。
「……なんで、そんな肌蹴てるんだよ」
ぽつりと、小さな声だったが確かに聞こえた。言われた意味を反芻しながら、今の自分の姿を思い出す。浴衣、といったか。今回の衣装は、着慣れないバーナビーにしてみれば、薄布一枚という酷く頼りないものに思えた。だが虎徹の故郷の民族衣装だと聞けば、その評価もひっくり返る。実際、虎徹が用意された衣装を着てみせたとき、この浴衣という服は彼の細身の身体に驚くほど似合っていた。そう素直に褒めれば、照れたような笑顔で、お前もな、と返してくれた。
そのときはかっちりと着込んでいた浴衣だが、今は確かに虎徹が言うように合わせが開いて胸元が露出している。カメラマンのリクエストに応えていった結果だ。見苦しいという程ではないだろうが、外を歩くのは憚れる位ではある。
ちらりと目線を虎徹に戻せば、その頬はほんのりと赤く、恥ずかしいのかその視線は伏せられていた。先程の女性と同じような表情なのに、何故こうも彼だけが自分の心を揺さぶるのか。隠しきれない嬉しさを纏ったまま、その耳元に顔を寄せる。
「嫉妬してくれたんですか? それとも……その気に、なってしまった?」
一瞬の硬直の後、ばっと虎徹が身体を離す。今や頬だけでなく首まで真っ赤になっているのを見て、バーナビーはとうとう吹き出した。
「僕は良いですけど、虎徹さんは肌蹴ちゃ駄目ですよ。そんなことしたら、全身に跡付けますからね」
笑い混じりにそう囁けば、言葉を忘れたかのように口だけがぱくぱくと動く。あぁ、愛しい。その想いのままに軽く口付けてから踵を返す。
折角だし、この衣装を貰えないか交渉してこよう。今夜が楽しみだ。
再び営業用の笑顔を張り付けながら、バーナビーは夜に迎える二人の時間に思いを馳せた。
(煽った以上は、覚悟して下さいね)
撮影のセットから下りると、すかさず若い女性スタッフがタオルとミネラルウォーターのボトルを手に駆け寄って来る。頬を染めている彼女に営業用と揶揄される笑顔で対応し、礼を言ってそれらを受け取った。それが作り物だと気付かない彼女は今日の撮影を褒めちぎるが、バーナビーからすれば苦笑しか出てこない。
どうしたものかと考えていると、撤収を始めていた他のスタッフが彼女の名を呼んだ。彼女はもう少しバーナビーと言葉を交わしたいのだろうが、他のスタッフに呼ばれればそういう訳にもいかない。名残惜しそうに背を向けた彼女を見送りながら、心の内では彼女を呼んだスタッフに感謝する。
グラビア撮影の仕事も続けていく以上、カメラマンだけでなく、周囲のスタッフ達との関係を円滑にしておくことが重要なのは分かっている。だが、自身の想い人である虎徹以外にかけなければならない時間は、短ければ短い程良い、というのがバーナビーの偽らざる本心だった。
広くはないスタジオ内に視線を巡らせると、隅に設けられたソファーにその姿はあった。先に撮影が終わってしまって暇を持て余していたのだろう、その表情はどことなく不機嫌そうだ。そんな虎徹を見て、バーナビーの表情は思わず綻んだ。撮影用でも営業用でもない、自然な心からの笑顔を浮かべながら彼の元へ歩み寄る。
「お待たせしました。もう帰れますよ、虎徹さん」
「……………おう」
返された低い声に、おやと思う。確かにかなりの時間待たせてしまったが、それはいつものことだ。虎徹ももう諦めていて、撮影の仕事は嫌だとか減らしてほしいとか愚痴ることはあれど、ここまで機嫌を損ねることは最近はなくなっていたというのに。
そんなバーナビーの疑問を感じ取ったのだろう、言いにくそうに口ごもりながらも虎徹は言葉を発する。
「……なんで、そんな肌蹴てるんだよ」
ぽつりと、小さな声だったが確かに聞こえた。言われた意味を反芻しながら、今の自分の姿を思い出す。浴衣、といったか。今回の衣装は、着慣れないバーナビーにしてみれば、薄布一枚という酷く頼りないものに思えた。だが虎徹の故郷の民族衣装だと聞けば、その評価もひっくり返る。実際、虎徹が用意された衣装を着てみせたとき、この浴衣という服は彼の細身の身体に驚くほど似合っていた。そう素直に褒めれば、照れたような笑顔で、お前もな、と返してくれた。
そのときはかっちりと着込んでいた浴衣だが、今は確かに虎徹が言うように合わせが開いて胸元が露出している。カメラマンのリクエストに応えていった結果だ。見苦しいという程ではないだろうが、外を歩くのは憚れる位ではある。
ちらりと目線を虎徹に戻せば、その頬はほんのりと赤く、恥ずかしいのかその視線は伏せられていた。先程の女性と同じような表情なのに、何故こうも彼だけが自分の心を揺さぶるのか。隠しきれない嬉しさを纏ったまま、その耳元に顔を寄せる。
「嫉妬してくれたんですか? それとも……その気に、なってしまった?」
一瞬の硬直の後、ばっと虎徹が身体を離す。今や頬だけでなく首まで真っ赤になっているのを見て、バーナビーはとうとう吹き出した。
「僕は良いですけど、虎徹さんは肌蹴ちゃ駄目ですよ。そんなことしたら、全身に跡付けますからね」
笑い混じりにそう囁けば、言葉を忘れたかのように口だけがぱくぱくと動く。あぁ、愛しい。その想いのままに軽く口付けてから踵を返す。
折角だし、この衣装を貰えないか交渉してこよう。今夜が楽しみだ。
再び営業用の笑顔を張り付けながら、バーナビーは夜に迎える二人の時間に思いを馳せた。
ていうかこれ浴衣である必要なくねと何度も思いましたすみません。
バニーちゃん視点にするとやたら甘くなる不思議。
バニーちゃん視点にするとやたら甘くなる不思議。
兎虎兎・朝起きたらにょバニちゃんが増えていました
・残念なハンサム→苦労人おじさん←残念な美女
・バニーちゃん同士は仲が悪いよ!
ふに、と指で頬を突かれる感触で、微睡んでいた意識が浮上し始めるのを感じた。だが、なかなが目を開く気にはなれなくて憤るように呻く。
閉じた瞼でも光を感じられるほどなのだから、もう朝なのだろう。もしかしたら昼なのかもしれない。それでも明け方近くまで愛され続けた身体は、未だ疲労を訴えている。どうせ今日はオフだし、突っついてくる相手だって相棒兼恋人のバニーだ。放っておいても構わないだろう。
そう判断して、頬に触れて来る相手に背を向けるように寝返りを打つ。―――と、手に慣れた体温が触れた。
え、あれ、バニーがこっちにいる? じゃあ後ろから飽きもせずに頬を突き続けているこれは誰だ?
寝起きの思考が段々と混乱と恐怖に染まっていく。それを知りもしないだろう背後の何者かは、ぐいと身を乗り出して俺の身体に覆い被さってきた。それに伴って腕に当たった柔らかい感触に、思わず悲鳴を上げながら飛び起きる。
「ちょ、ちょ、誰だあん……た…」
誰何の声が尻窄まりになる。仕方がない。だって、俺の目の前には、誰かによく似た絶世の美女がいたのだ。しかも俺を押し倒す格好の。
「……ちょっと…虎徹さん……起きるときくらい…静かにして下さいよ……」
上半身を起こしたものの、相変わらず低血圧のバニーは寝起きが悪いようだ。焦点の合わない瞳で俺とその上に被さる美女を見詰めること約一分。
無言でその美女を押し退けて下敷きになっていた俺を引きずり出すと、無理矢理抱き起こしてしっかりと肩を掴んだ。発光はしていないから能力発動はしていないのだろうが、相手は普段から鍛えてる成人男性だ。力の込められたそこは痛い。かなり痛い。骨を砕く気なんじゃないかと思う程に。なのに浮かべているのは笑顔だ。爽やかなまでの笑顔。嫌な汗が背中を伝うのを感じる。
「誰ですかこの女は浮気相手ですか浮気相手をあろうことか僕の家に連れ込むとは相当の覚悟の上なんですよねどんな御仕置きされても文句はないんですよね僕は浮気は許さない主義ですので」
表情を変えることなく一息でこれだけの台詞を言いきったバニーに、俺が出来たのは力の限り叫び返すことだけだった。
「何の話だよ!? 他に気にすることあるだろうが!! なんでお前そっくりの女がここにいるんだよ!!」
―――そう、俺を押し倒していた美女は、バニーと瓜二つの顔をしていた。
・バニーちゃん同士は仲が悪いよ!
ふに、と指で頬を突かれる感触で、微睡んでいた意識が浮上し始めるのを感じた。だが、なかなが目を開く気にはなれなくて憤るように呻く。
閉じた瞼でも光を感じられるほどなのだから、もう朝なのだろう。もしかしたら昼なのかもしれない。それでも明け方近くまで愛され続けた身体は、未だ疲労を訴えている。どうせ今日はオフだし、突っついてくる相手だって相棒兼恋人のバニーだ。放っておいても構わないだろう。
そう判断して、頬に触れて来る相手に背を向けるように寝返りを打つ。―――と、手に慣れた体温が触れた。
え、あれ、バニーがこっちにいる? じゃあ後ろから飽きもせずに頬を突き続けているこれは誰だ?
寝起きの思考が段々と混乱と恐怖に染まっていく。それを知りもしないだろう背後の何者かは、ぐいと身を乗り出して俺の身体に覆い被さってきた。それに伴って腕に当たった柔らかい感触に、思わず悲鳴を上げながら飛び起きる。
「ちょ、ちょ、誰だあん……た…」
誰何の声が尻窄まりになる。仕方がない。だって、俺の目の前には、誰かによく似た絶世の美女がいたのだ。しかも俺を押し倒す格好の。
「……ちょっと…虎徹さん……起きるときくらい…静かにして下さいよ……」
上半身を起こしたものの、相変わらず低血圧のバニーは寝起きが悪いようだ。焦点の合わない瞳で俺とその上に被さる美女を見詰めること約一分。
無言でその美女を押し退けて下敷きになっていた俺を引きずり出すと、無理矢理抱き起こしてしっかりと肩を掴んだ。発光はしていないから能力発動はしていないのだろうが、相手は普段から鍛えてる成人男性だ。力の込められたそこは痛い。かなり痛い。骨を砕く気なんじゃないかと思う程に。なのに浮かべているのは笑顔だ。爽やかなまでの笑顔。嫌な汗が背中を伝うのを感じる。
「誰ですかこの女は浮気相手ですか浮気相手をあろうことか僕の家に連れ込むとは相当の覚悟の上なんですよねどんな御仕置きされても文句はないんですよね僕は浮気は許さない主義ですので」
表情を変えることなく一息でこれだけの台詞を言いきったバニーに、俺が出来たのは力の限り叫び返すことだけだった。
「何の話だよ!? 他に気にすることあるだろうが!! なんでお前そっくりの女がここにいるんだよ!!」
―――そう、俺を押し倒していた美女は、バニーと瓜二つの顔をしていた。
色々すみません。マジで。
しかも救えないことに続くよ!
しかも救えないことに続くよ!
兎虎?・会話文
「………」
「………」
「……ちゃんと聞いたか、バニー」
「……はい。認めたくは、ないですが」
「だが……これが事実だ」
「そのようですね……いや、でも」
「いい加減にしろ、バニー! 科学的な裏付けもあるんだ、認めろ!!」
「ですが! ……僕は、虎徹さんのことを、思って」
「……分かってる。お前が俺のことを思って言ってくれてるのは分かってるさ。だがな、これだって一つの事実だ」
「……虎徹さん……。僕だって分かってるんです。こんなことを聞かされて、その効果を無視することは出来ません。でも、その弊害も確かに存在するんです。それだってまた一つの事実です」
「バニー……」
「虎徹さん……」
「だから! いい加減に俺にマヨを食わせろ! いっそ飲ませろ! ちゃんとブロッコリーも食うから! 老化予防もするから!!」
「駄目です! あんな高カロリーなもの摂ってメタボになって、あなたのエロい腰が失われたらどうするんですか! 人類の損失です!」
「意味分かんねぇよ! とにかく俺はマヨの禁断症状だ摂取させろ!!」
「だから駄目ですってば!!」
「………」
「……ちゃんと聞いたか、バニー」
「……はい。認めたくは、ないですが」
「だが……これが事実だ」
「そのようですね……いや、でも」
「いい加減にしろ、バニー! 科学的な裏付けもあるんだ、認めろ!!」
「ですが! ……僕は、虎徹さんのことを、思って」
「……分かってる。お前が俺のことを思って言ってくれてるのは分かってるさ。だがな、これだって一つの事実だ」
「……虎徹さん……。僕だって分かってるんです。こんなことを聞かされて、その効果を無視することは出来ません。でも、その弊害も確かに存在するんです。それだってまた一つの事実です」
「バニー……」
「虎徹さん……」
「だから! いい加減に俺にマヨを食わせろ! いっそ飲ませろ! ちゃんとブロッコリーも食うから! 老化予防もするから!!」
「駄目です! あんな高カロリーなもの摂ってメタボになって、あなたのエロい腰が失われたらどうするんですか! 人類の損失です!」
「意味分かんねぇよ! とにかく俺はマヨの禁断症状だ摂取させろ!!」
「だから駄目ですってば!!」
某番組でブロッコリー+マヨ→老化予防効果とか紹介していたもので、つい。
オチなんてものはないよ!
オチなんてものはないよ!