「………どうしたんだ、お前」
「…………」
久方ぶりに訪れた高松城。家臣達の何処か落ち着かない様子を怪訝に思いながらも、いつも通り城主の室へと通されて。
そこで見たのは、いつもより更に不機嫌な顔をして横になっている城主の姿だった。
襖も閉められ二人きりにされてしまうと、更に居心地の悪さが募ってくる。どうせこの状況の原因はこいつなんだろう、と当たりをつけると、現状打破のため、元親は未だ不機嫌な顔のままの元就の傍へと寄って腰を下ろした。
「・・・・・で、どうしたってんだ? 別に病って訳じゃねぇんだろ」
「貴様には関係なかろう」
素っ気無い答えはいつも通りだが、その口調にいつものような強さがない。こうして近寄ってみれば何処か顔色が悪いような気もするし、元々細かった身体の線が更に細くなったようにも感じられる。
疲れてるみたいだな、と問いかければ、ぷいと顔を逸らす。これは図星を指されたときの元就の仕草だ。戦となれば冷徹だの智将だの言われる元就も、普段であればこのような分かりやすい態度をとることもある。それは誰にでもという訳ではなく、ごく一部の人間に対してではあったが。
そのごく一部の中に自分が入っているらしい理由は、幼馴染み故かもしれない、と元親は思う。家のために、と張り続けている糸がふっと緩む瞬間。それが己といるときなのだと。
最も、それが事実であろうと、元就がそれを認めることはないだろうが。
と、逸れ始めた思考を戻す。そうだ、この状況を何とかしないといけないのだ。
しかし、疲れているのなら休息を取ればいいだけだ。まさに準備万端、といった様子の元就を見て、元親は思う。
……まさか、それを邪魔されて怒ってんのか?
そう口に出そうとした瞬間、こちらの考えを感じ取ったのか、じろりと元就が睨みつけてくる。
どうやら違うらしい、とは分かるが、じゃあ何が原因かと考えても思い当たらない。諦めて視線だけで問うと、気まずそうに視線を逸らして小さく呟く。
「……眠れぬのだ」
その言葉にあぁ、と納得する。
そういえば、元就はたまにそんな状態になることがあった。疲れている筈なのに、横になっても睡魔が訪れず寝付けない。頭が冴えてしまい、眠りに就けないのだ。
元就のことだ、それを逆に幸いと仕事を片付けていたに違いない。そして見かねた家臣に床を勧められたが、やはり寝付けないままでいたのだろう。
「……んだよ、大したことねぇじゃん」
深刻ではなさそうだ、と思ってはいたが、万が一ということもあると何処かで懸念していた元親は、思わずといった調子で溜息とともに言葉を吐き出した。
それは心配が杞憂に終わったという安堵からだったのだが、当事者たる元就には深刻な問題なのだ。大したことないと言われ、ますます眉間に皺を寄せる。
「このままでは仕事が出来ぬ。早く寝なければ支障が出る」
そう真剣に呟く元就。その生真面目さが不眠を引き起こしてるのではと思うが、それが元就なのだ。彼が神経を張り詰めたままでしかいられないのなら、それを緩めてやるのが自分の役目だ。
だから、元親は笑う。そうやって真面目でいることが馬鹿馬鹿しくなる位に、底抜けの笑顔で。
「良いんじゃねぇか、無理しなくてもよ。放っときゃ、そのうち眠くなんだろ」
どうせ仕事溜まってないだろ?と笑えば、元就は納得出来ない、というよりはしたくない、というような表情をして。
それでも大人しく上掛けに潜った。
「……馬鹿鬼」
布越しの所為か、くぐもって聞こえてきた小さな声。罵詈ととれるその言葉は、元就なりの礼なのだと、付き合いの長い元親には分かる。
だから、小さく笑みを零して。
そっと頭があるだろう場所に手を伸ばし、撫でる。
どうか眠りに就いたそのときにみる夢が、優しいものであるようにと。
「…………」
久方ぶりに訪れた高松城。家臣達の何処か落ち着かない様子を怪訝に思いながらも、いつも通り城主の室へと通されて。
そこで見たのは、いつもより更に不機嫌な顔をして横になっている城主の姿だった。
ライ ラ ライ
やっぱり、とでも言いたげな溜息を残して案内役の男が退室する。その様子からしてこの状況は予想内であり、然して深刻なものではないのだろう。襖も閉められ二人きりにされてしまうと、更に居心地の悪さが募ってくる。どうせこの状況の原因はこいつなんだろう、と当たりをつけると、現状打破のため、元親は未だ不機嫌な顔のままの元就の傍へと寄って腰を下ろした。
「・・・・・で、どうしたってんだ? 別に病って訳じゃねぇんだろ」
「貴様には関係なかろう」
素っ気無い答えはいつも通りだが、その口調にいつものような強さがない。こうして近寄ってみれば何処か顔色が悪いような気もするし、元々細かった身体の線が更に細くなったようにも感じられる。
疲れてるみたいだな、と問いかければ、ぷいと顔を逸らす。これは図星を指されたときの元就の仕草だ。戦となれば冷徹だの智将だの言われる元就も、普段であればこのような分かりやすい態度をとることもある。それは誰にでもという訳ではなく、ごく一部の人間に対してではあったが。
そのごく一部の中に自分が入っているらしい理由は、幼馴染み故かもしれない、と元親は思う。家のために、と張り続けている糸がふっと緩む瞬間。それが己といるときなのだと。
最も、それが事実であろうと、元就がそれを認めることはないだろうが。
と、逸れ始めた思考を戻す。そうだ、この状況を何とかしないといけないのだ。
しかし、疲れているのなら休息を取ればいいだけだ。まさに準備万端、といった様子の元就を見て、元親は思う。
……まさか、それを邪魔されて怒ってんのか?
そう口に出そうとした瞬間、こちらの考えを感じ取ったのか、じろりと元就が睨みつけてくる。
どうやら違うらしい、とは分かるが、じゃあ何が原因かと考えても思い当たらない。諦めて視線だけで問うと、気まずそうに視線を逸らして小さく呟く。
「……眠れぬのだ」
その言葉にあぁ、と納得する。
そういえば、元就はたまにそんな状態になることがあった。疲れている筈なのに、横になっても睡魔が訪れず寝付けない。頭が冴えてしまい、眠りに就けないのだ。
元就のことだ、それを逆に幸いと仕事を片付けていたに違いない。そして見かねた家臣に床を勧められたが、やはり寝付けないままでいたのだろう。
「……んだよ、大したことねぇじゃん」
深刻ではなさそうだ、と思ってはいたが、万が一ということもあると何処かで懸念していた元親は、思わずといった調子で溜息とともに言葉を吐き出した。
それは心配が杞憂に終わったという安堵からだったのだが、当事者たる元就には深刻な問題なのだ。大したことないと言われ、ますます眉間に皺を寄せる。
「このままでは仕事が出来ぬ。早く寝なければ支障が出る」
そう真剣に呟く元就。その生真面目さが不眠を引き起こしてるのではと思うが、それが元就なのだ。彼が神経を張り詰めたままでしかいられないのなら、それを緩めてやるのが自分の役目だ。
だから、元親は笑う。そうやって真面目でいることが馬鹿馬鹿しくなる位に、底抜けの笑顔で。
「良いんじゃねぇか、無理しなくてもよ。放っときゃ、そのうち眠くなんだろ」
どうせ仕事溜まってないだろ?と笑えば、元就は納得出来ない、というよりはしたくない、というような表情をして。
それでも大人しく上掛けに潜った。
「……馬鹿鬼」
布越しの所為か、くぐもって聞こえてきた小さな声。罵詈ととれるその言葉は、元就なりの礼なのだと、付き合いの長い元親には分かる。
だから、小さく笑みを零して。
そっと頭があるだろう場所に手を伸ばし、撫でる。
どうか眠りに就いたそのときにみる夢が、優しいものであるようにと。
意味不明……!!!
うちの瀬戸内は、×なんだか+なんだか→なんだか分かりません(本当にな)。
そして当たり前のように幼馴染み設定捏造です。ひゃっほう。
うちの瀬戸内は、×なんだか+なんだか→なんだか分かりません(本当にな)。
そして当たり前のように幼馴染み設定捏造です。ひゃっほう。