他の者ならば何ともないのに。何故か、何故かは分からないのだが。
 ……どうしてか、お前だけは駄目なんだ。


「はい旦那ー、お八つの団子だよー」


 何でもない言葉なのに、心臓が跳ねる。
 壊れてしまうんじゃないか、という位にばくばくと脈打っている。


「……どしたの、そんな端っこで」


 少しでもお前と距離を取る為だ、と言ったら誤解させてしまうだろうか。
 嫌だとか言う訳ではない。ただ、呼吸が苦しくなるから、近寄れないだけだ。


「何か顔赤いし……もしかして、具合悪い?」
「 ―――― !!!」


 ひた、と。
 自分より少し体温の低く大きい掌が、額に当てられる。

 その瞬間、頭の中は真っ白になって。



「 ――――― っっ うああぁぁぁあぁああぁぁ!!!!」



 突然の絶叫に呆然としている佐助を残して、部屋を飛び出す。
 あぁ、もしかして気付かれてしまっただろうか。

 ……今まで、平気で佐助に触れていられたなんて、信じられない。


01. 動悸・息切れ・微熱