「……眠れない?」
かけられた声に視線を上げると、いつもより少し疲れた表情の忍が立っていた。
僅かな灯りしかない室内では足元も見えていないだろうに、すたすたとこちらに歩み寄ってくるのはさすが忍、といったところだろうか。半身を起こしたままの自分の隣にすとん、と腰を落ち着けると、佐助は苦笑した。
「駄目だよ。自覚なくても、あんた凄く疲れてんだから寝なくちゃ」
心も、身体も、さ。
言外に告げられた言葉に曖昧に笑う。戦場を駆け、多くの人を屠ったのだ。疲れているのも分かっている。身体は疲弊を訴えているし、だるくて動きたくない。
だが、身体と反対に頭は覚醒していて、眠りに身を委ねることを許さない。
こと、と佐助の肩に頭を預けると、無言で頭を撫でられた。
身体が震えていることには気付いているだろうが、何も言わない優しさが有り難かった。
怖いのだ。世界が。全てが怖い。恐ろしい。
闇から何かが生まれて、自分を引きずりこんでいくような、そんな感覚。二槍を振って肉を裂くたび、血を浴びるたび、闇は深くなる。その闇を照らしてくれる存在は次々と失われ、その一方で闇ばかりを濃くしていく。
恐怖が、増していく。
「あぁもう、仕方ないなぁ」
その言葉と同時に、身体を倒される。そのまま上掛けを被せられ、共に横になっている佐助に抱き竦められた。
目を白黒させていると、からかうような声音が降ってくる。
「ほら、俺様直々に添い寝してあげるからさ」
そう言って優しく背中を撫でてくる。伝わってくる心音、体温、その全てが優しくて。
佐助の背中に回した手に力を込め、その身体にしがみついた。
いつか、いつかはこの手を離して、一人で世界に立ち向かわなくてはいけない。
でも、どうかそれまでは、今だけは。
(傍で肩を寄せ合って、夜明けを待たせて)
かけられた声に視線を上げると、いつもより少し疲れた表情の忍が立っていた。
僅かな灯りしかない室内では足元も見えていないだろうに、すたすたとこちらに歩み寄ってくるのはさすが忍、といったところだろうか。半身を起こしたままの自分の隣にすとん、と腰を落ち着けると、佐助は苦笑した。
「駄目だよ。自覚なくても、あんた凄く疲れてんだから寝なくちゃ」
心も、身体も、さ。
言外に告げられた言葉に曖昧に笑う。戦場を駆け、多くの人を屠ったのだ。疲れているのも分かっている。身体は疲弊を訴えているし、だるくて動きたくない。
だが、身体と反対に頭は覚醒していて、眠りに身を委ねることを許さない。
こと、と佐助の肩に頭を預けると、無言で頭を撫でられた。
身体が震えていることには気付いているだろうが、何も言わない優しさが有り難かった。
怖いのだ。世界が。全てが怖い。恐ろしい。
闇から何かが生まれて、自分を引きずりこんでいくような、そんな感覚。二槍を振って肉を裂くたび、血を浴びるたび、闇は深くなる。その闇を照らしてくれる存在は次々と失われ、その一方で闇ばかりを濃くしていく。
恐怖が、増していく。
「あぁもう、仕方ないなぁ」
その言葉と同時に、身体を倒される。そのまま上掛けを被せられ、共に横になっている佐助に抱き竦められた。
目を白黒させていると、からかうような声音が降ってくる。
「ほら、俺様直々に添い寝してあげるからさ」
そう言って優しく背中を撫でてくる。伝わってくる心音、体温、その全てが優しくて。
佐助の背中に回した手に力を込め、その身体にしがみついた。
いつか、いつかはこの手を離して、一人で世界に立ち向かわなくてはいけない。
でも、どうかそれまでは、今だけは。
(傍で肩を寄せ合って、夜明けを待たせて)
05. 肩を寄せ合い夜明けを待とう
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