ああ、この人が好きなのだと。
 そう自覚した瞬間に感じたのは、途方もない罪悪感だった。

 ずっと傍で面倒を見てきて、主としてはまだまだ至らない点もあるけれど、武人としては尊敬出来て。何より、ただただ純粋に、この人に仕えたい、と。
 そう、思っていたのに。誰よりこの人の笑顔を、幸せを望んでいた筈なのに。なのに、何で、こんな感情を抱いてしまったのか。

 親の顔も知らず、幼い頃から忍としての修行にのみ生きてきた。そんな育ちで、愛なんてものを知る訳もなくて。
 だから、あんたには幸せになって欲しいと思うのに。いつだって笑っていて欲しいのに。


 俺じゃあ、あんたをきっと駄目にしてしまう。


 正しい愛し方なんか分からないから。汚して泣かして不幸にして。そんな、一番望まない未来しか与えられない。
 あんたを、傷付けることしか、出来ない。


「……正しい愛し方も何も、そもそも愛することから間違いなんだけど、ね」


 そう自嘲して。
 自分のいない何処かでの、あの人の幸せを願った。





(好きになること、それ自体が罪で)


02. 正しい愛し方がわからない