静かな眠りに落ちたその頬を、そっと撫でる。白く、肌理細かな肌。所々引っかかるように傷が指に触れる。
 当然だ、この人も戦に身を置く人間なのだから。

 それは自分も同じ。
 それどころか敵同士で、戦場でその独眼に殺気を込めて睨まれたことだってある。


「……なのに、何でこんなことになっちゃったかねぇ」


 誰に聞かせるでもなくぼやくと、眠りに落ちているはずの政宗が、暖を求めてか擦り寄ってきて。
 普段であれば絶対に見せない仕草に苦笑が漏れる。

 ねぇ、そんなに安心しきって眠ってて良い訳? いつ俺があんたの首を狙うか分からないんだよ?
 もしかしたら、今この瞬間も、その命を受けているのかもしれないんだよ?

 そんなことを止め処なく考えてみるが、子供のように服を掴まれてしまえば簡単に霧散してしまう。その代わりに零れるのは、微かな笑み。求められているという事実に、らしくもなく泣きたくなる。
 あぁ、どうか今だけは。今だけはこのままで。こんな俺を愛してくれた君の傍に。


「……愛してるよ」


 甘く優しく、残酷な言葉を紡ぐ。
 いつか、この手でその言葉を嘘にする日が来ると知りながら。





(嘘と知りつつ笑ってくれる君を、確かに愛しているのに)


04. 僕に愛をくれた君