(好きだぜ、元就)

 我が応える筈のないことを知っているのに、繰り返される言葉。もしかしたら、繰り返すことで我の気が変わるかもしれぬと思っているのかとも考えたが、それは違うだろう。
 元親は、そんな打算で言葉を口にしない。言葉による効果を計算出来ないから、と言ってしまえばそれまでではあるが、確かにそうなのだ。
 だから、きっとその言葉を繰り返すのは、本人がそうしたいからなのだろう。それ以上でも、それ以下でもなく。


 肺の中の空気全てを吐き出すような溜息を吐く。他に誰もいない部屋には、その呼気すら大きく聞こえて。一人なのだと、そう実感させる。
 それに特に感慨を感じた訳ではない。ただ、一人なのだと。そう思っただけで。
 今までだって、そうだった。そして、それはこれからもそうなのだろう。

 だから。きっと、元親のあの言葉を聞き流して素知らぬ振りをするのも、変わらなくて。
 その体温に触れてみたいと思いつつも手を伸ばせずに終わるのも、きっと変わらないのだろう。

 その代わりに。
 元親があの言葉を自分に告げるのも、また変わらなければいいと。
 そう思った。





(なんて身勝手な願いだろうか)


05. 今日も、明日も、明後日も