俺にはお前が必要だ、だからいなくなるな。ずっと傍にいてくれ、何があっても離れるな。
お前の主はこの真田幸村ただ一人なのだから、俺が死ぬそのときまでずっと一緒だ。
何度も、何度も、言霊のように繰り返す言葉。鎖のように佐助に絡み付き、どうやっても解けなくなるまで、何度も。
佐助が何処に行こうとも、必ず自分の元に帰ってくるように、呪いのような願いを込めて。
恐らく、自分は許せないのだ。佐助を自分から奪うものは、それが他者でも死でも。佐助がいなくなることを、到底自分は受け入れられそうにない。
だから、何度も繰り返すのだ。何処に任務で行こうと、必ず生きて、自分を主として帰ってくるように。
最低だと、分かっている。こんな所業、武士どころか人としての風上にもおけない。立場を利用して人を支配するなど、己の最も嫌っていた行為であった筈なのに。
それでも、最も忌むべき行為をしてでも、佐助を失いたくないのだ。ずっとずっと隣にいて、自分の世話を焼き、鍛錬に付き合い、たまには叱って、変わらず笑っていて欲しいんだ。
ただ、それだけなんだ。
こんな浅ましい俺の思惑を知ってか知らずか、佐助は俺の願い通りに何処へ行こうとも生きて俺の元に帰ってきて、俺の傍で世話を焼いて笑っている。その笑顔を見る度に胸が軋んで、己の仕出かしていることを詫びたくなる。
だが、それは出来ない。それを言ってしまえば、この鎖は切れてしまう。言霊の効力が切れてしまう。佐助を、失ってしまう。
ふと見上げた空は茜色に染まっていて、今此処にいない人を思い起こさせる。
早く、早く帰ってきてくれ。そしていつものように、ただいまと笑ってくれ。最低だと分かった上でこんなことを繰り返している主の元に、戻ってきてくれ。
「……どうしても……お前を、失えぬのだ」
微かな呟きを受け止める東の空は、もう夕闇に包まれ始めている。
その空に、愛しい人の姿は、まだない。
(酷いと分かっている、けれどそれでも)
お前の主はこの真田幸村ただ一人なのだから、俺が死ぬそのときまでずっと一緒だ。
何度も、何度も、言霊のように繰り返す言葉。鎖のように佐助に絡み付き、どうやっても解けなくなるまで、何度も。
佐助が何処に行こうとも、必ず自分の元に帰ってくるように、呪いのような願いを込めて。
恐らく、自分は許せないのだ。佐助を自分から奪うものは、それが他者でも死でも。佐助がいなくなることを、到底自分は受け入れられそうにない。
だから、何度も繰り返すのだ。何処に任務で行こうと、必ず生きて、自分を主として帰ってくるように。
最低だと、分かっている。こんな所業、武士どころか人としての風上にもおけない。立場を利用して人を支配するなど、己の最も嫌っていた行為であった筈なのに。
それでも、最も忌むべき行為をしてでも、佐助を失いたくないのだ。ずっとずっと隣にいて、自分の世話を焼き、鍛錬に付き合い、たまには叱って、変わらず笑っていて欲しいんだ。
ただ、それだけなんだ。
こんな浅ましい俺の思惑を知ってか知らずか、佐助は俺の願い通りに何処へ行こうとも生きて俺の元に帰ってきて、俺の傍で世話を焼いて笑っている。その笑顔を見る度に胸が軋んで、己の仕出かしていることを詫びたくなる。
だが、それは出来ない。それを言ってしまえば、この鎖は切れてしまう。言霊の効力が切れてしまう。佐助を、失ってしまう。
ふと見上げた空は茜色に染まっていて、今此処にいない人を思い起こさせる。
早く、早く帰ってきてくれ。そしていつものように、ただいまと笑ってくれ。最低だと分かった上でこんなことを繰り返している主の元に、戻ってきてくれ。
「……どうしても……お前を、失えぬのだ」
微かな呟きを受け止める東の空は、もう夕闇に包まれ始めている。
その空に、愛しい人の姿は、まだない。
(酷いと分かっている、けれどそれでも)
02. ごめん / 君に謝りたかったこと
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