ロイエド 花火話?
 たまには、ゆっくりと。


「……何これ」

 大佐の執務室の来客用テーブルの上に散乱しているのは、どう見たって花火。缶に立てて打ち上げるものから手で持つものまで、種類は様々。
 そんなものが、どうして軍の司令官の部屋に大量に置いてあるのか、さっぱり理解できずにオレは首を傾げる。

「あぁ、何か『開かずの倉庫』整理してたら出てきたんだと」

 疑問に答えてくれたのは、軽いノックと共に部屋に入ってきたハボック少尉だった。

「何、『開かずの倉庫』って」
「いやな、ずっと使用してなかった倉庫をそう呼んでたんだよ。で、収納スペースが足りなくなったんで、そこ使おうってなってな。そしたら出てきたんだ」
「いつのだよ……」

 もう湿気て火なんか付かないんじゃないのか、そう目で問うと、少尉は軽く肩を竦めた。というか、そもそも何で軍の倉庫にそんなものが。
 そんなオレの様子にハボック少尉は苦笑して、オレの頭に手を載せる。

「でもな、大佐がやるって聞かなくてな」
「大佐が? 花火を?」

 何考えてるんだあの無能。

「あぁ。大将たちにさせるんだってな。……たまには子供らしいこと、させたいんだろ」
「……」

 子供らしいこと、って……。
 ……。


 ……きっと、今のオレの顔は真っ赤だと思う。
花火話なのか何なのか。
斜陽の焔
 ……ただ、空を見上げる。


 ふとした瞬間に。何故か寒さを感じてしまう。
 暑いとは言わないが、間違っても寒いはずない気温で。
 なのに、何故か寒い。

 あの、声を。あの、ぬくもりを。
 心が求めている。

「……」

 目を閉じれば、暗闇に浮かぶのはあの笑顔。
 優しすぎて、切なくて、どうしようもなくなる。


 逢いたいよ。


 言葉にならない想いを飲み込んで、ただ、蒼を探して空を見上げる。

 あんたのこと、想い出したりしないよ。
 だって。
 忘れたことなんてないから。
えー、斜陽の焔と紅い櫻の中間の話?(聞くな)
ロイ→エド
 分かっていたつもりだった。


 ふと触れた肩が僅かに震えていて。それを止めたくて掴んだ肩の細さに言葉を失って。理解していたのに、分かっていなかったのだと思い知る。
今目の前にいるのは、自分よりも一回り以上幼い子供なのだと。

 錬金術師として腕が立ち。国家錬金術師という、『子供』ではいられない道を選んで。
 本人もそのことを納得していて。『子供』として扱われることを望んでいなかったとしても。

 それでも、今目の前にいるのは、過酷な現実を歯を食いしばって耐えている、ただの子供なのだと。
 心が軋むほど切実に、触れた手のひらがそう教える。


 振り返ったその笑顔に哀しみを、瞳の奥に苦しみを見出したとしても。
 その細い身体を抱き締めてやれる立場に自分がいないことが、とても辛く、歯痒かった。
くっつく前?(何で疑問文) 想いを自覚したかしてないかくらい。
恥ずかしいロイ→エド
 好きとか嫌いとか。


 今私の目の前には、不機嫌だということを隠す気もない鋼のがいる。
 まぁ、不機嫌の理由は分かっている。私だ。私が執務室に連行した所為で、先ほど囲まれていた女性事務官達から菓子を貰い損ねた。その所為で機嫌が悪いのだろう。

 鋼のは、こちらに目線を向けもせず、先ほど中尉が出してくれた茶菓子を頬張っている。
 何だ? 当てつけなのかこれは。

 全く、と彼と自分自身に溜息を吐きながら座り慣れた椅子に身を沈める。
 鋼のがこの手の事柄に関して鈍いのは予想通りではあるが。まさか、自分がここまで狭量な人間だとは思いもしなかった。他の人間と話をしているのさえ嫌だ、なんて。大した独占欲だ。
 そう、私はきっと、彼を全てから独占したいのだろう。

 でも、そんな暗い感情は、必要ないだろう?

 ちら、と鋼のに目線をやると慌てて逸らされる。
 そんな挙動の一つ一つに笑みが零れる。

 好きか嫌いか、悩んで迷って戸惑って。苦しんで悲しんで ――― 喜んで。
 そんな楽しい時間を、無理に結論付けて終わらせる必要などない。

 そうだろう?
 これは、「恋」なのだから。
……恥ずかしい話を書きたくなって死にたくなりました。
微妙ロイエド
 君の手を、離すことが出来るだろうか。


 もし、誰かに「彼の為だ」とそう諭されたとしたら。私は、君の手を離して、解放してあげることが出来るだろうか。
 いつか知らない誰かの隣で笑う君を見て、これで良かったと、手を離して正解だったと、そう思うことが出来るだろうか。

 ……きっと、出来はしない。

 誰に言われても解放などしてあげられないだろう。そんな光景を見たら、一緒にいる相手に何をしてしまうか分からない。
 君自身が望んだとしても、多分、この手を離してやることなんて、到底出来そうにない。この温もりを失うなんてことは、考えられない。

「・・・・大佐?」

 ぎゅ、と行き成り強く握られたことを訝しんだ君が私を見上げる。
 私が君を選び、君が私を選んでくれたときから、他の全てのものからの阻害は覚悟しているし、そんなものに屈するつもりなど全くない。

「なんだい?」

 ただただ優しく、静かな視線を返す。


 だから、どうか。
 君自身の意思で離れてゆくことがないように。
何だか長くなった。