君の夢を聴かせて。君の、君のための夢を。
ここは自宅のベッドで、もう何時間かすればあの優秀な副官に睨まれながらの仕事が待っている。寝なければいけない、そう思いながらも、それを実行に移せずにいるのは、いつものように悪夢を見た、とかこの大きな家に一人でいるのが淋しくなってしまった、とかではなくて。
……むしろその逆で。
少し自分の頭を上げ、そのまま肘をついて頭を支える。自分の視線の先には、愛しい、金色の猫。数ヶ月ぶりに逢えた、大事な恋人。
君の寝顔をまだ見ていたいから眠れない、なんて。君が知ったらどんな顔をするだろうか。「ふざけんじゃねぇっ!!」と、真っ赤になって怒るだろうか。「そんなことより少しでも寝ろ!!」と、心配気に怒るだろうか。
どちらにせよ怒るんだろうな、と自分で出した結論に思わず苦笑する。いや、苦笑はその後に続いた、「怒らせてみようかな」という考えに対するものかもしれない。
君に怒られるのが、私は好きみたいなんだ。
君はいつも怒るとき、照れているか心配してくれているかのどちらかであることを知っているから。そのどちらもが嬉しいから、君に怒られるのが好きなんだ。
とはいえ、もし君にこんなことをしていると知られてしまったら、恐らく君が隣で寝てくれることは無くなってしまうだろうし、なによりあの副官に今度こそ頭を打ち抜かれるかもしれない。あの副官の、エルリック兄弟に対する姉のような気持ちを考えれば、今こうやって一緒に夜を過ごしていることすら奇跡なのだから。
「…んむー……」
エドワードが小さくうめいて身体を縮こませる。
何か怖い夢でも見ているのだろうか。そう危惧したのも一瞬で。エドワードは私のほうに擦り寄ってきて、安心したように、また穏やかな寝息を立て始めた。
そんな様子を見て、安堵の息を吐く。彼も、逃れられない過去を持っていて、その夢に囚われることがあると知っているから。
ふと、そんな風に彼の心配をしている自分が不思議で、思わず笑みが零れた。
相手を恋愛対象として意識し出したのは、自分が先だ。だが、それだって本気になるなんて思ってもみなかった。ただの物珍しさゆえに興味を引かれたんだと思った。
その強い光を宿した瞳を好きになって。凛とした声に惹かれ、煌めく髪に惹かれ。そして、今ではその気の強さも、拗ねた顔も、君のどんなところも、全部が好き、だなんて。
過去の自分を知っている人物なら、きっと一様に間の抜けた顔をするだろう。自分でさえ信じられないのだから。こんなにも、誰かを愛しく想う、だなんてこと。
でも、本当なんだ。気まぐれなんかじゃなくて。本当に君だけ、特別で。
自分にくっついているエドワードの身体を、起こさないよう気を付けて抱き締める。そっと、でも強く、想いを伝えるように。
君が怖い夢の中で迷子になって泣いていたら、何処でも迎えに行こう。キスで涙を拭いて、その手を取って歩き出そう。君が立ち止まらないように。振り返らないように。いつでも力を貸そう。
君がいつか、全てを終えて、「弟と自分の身体を取り戻す」といったものでなく。君の、君自身の、本当の夢を語れるようになるまで。それを君が私に聴かせてくれるそのときまで。
夜が来ても。朝を迎えても。ここにいるから。いつでも支えるから。
だから。
「……いつか、君には名前で呼んで欲しいんだ」
そして。願わくは、君がいつか語るであろう君自身の夢の中に、私の居場所があるように。
そう祈って、君を腕に抱いたまま目を閉じる。
君の怒鳴り声で起こされるまでの、少しの間。
私だけの、君との時間。
夜明け前
ふと窓の外に目をやると、遠くに月が沈むのが見えた。もう空が白み始めている。ここは自宅のベッドで、もう何時間かすればあの優秀な副官に睨まれながらの仕事が待っている。寝なければいけない、そう思いながらも、それを実行に移せずにいるのは、いつものように悪夢を見た、とかこの大きな家に一人でいるのが淋しくなってしまった、とかではなくて。
……むしろその逆で。
少し自分の頭を上げ、そのまま肘をついて頭を支える。自分の視線の先には、愛しい、金色の猫。数ヶ月ぶりに逢えた、大事な恋人。
君の寝顔をまだ見ていたいから眠れない、なんて。君が知ったらどんな顔をするだろうか。「ふざけんじゃねぇっ!!」と、真っ赤になって怒るだろうか。「そんなことより少しでも寝ろ!!」と、心配気に怒るだろうか。
どちらにせよ怒るんだろうな、と自分で出した結論に思わず苦笑する。いや、苦笑はその後に続いた、「怒らせてみようかな」という考えに対するものかもしれない。
君に怒られるのが、私は好きみたいなんだ。
君はいつも怒るとき、照れているか心配してくれているかのどちらかであることを知っているから。そのどちらもが嬉しいから、君に怒られるのが好きなんだ。
とはいえ、もし君にこんなことをしていると知られてしまったら、恐らく君が隣で寝てくれることは無くなってしまうだろうし、なによりあの副官に今度こそ頭を打ち抜かれるかもしれない。あの副官の、エルリック兄弟に対する姉のような気持ちを考えれば、今こうやって一緒に夜を過ごしていることすら奇跡なのだから。
「…んむー……」
エドワードが小さくうめいて身体を縮こませる。
何か怖い夢でも見ているのだろうか。そう危惧したのも一瞬で。エドワードは私のほうに擦り寄ってきて、安心したように、また穏やかな寝息を立て始めた。
そんな様子を見て、安堵の息を吐く。彼も、逃れられない過去を持っていて、その夢に囚われることがあると知っているから。
ふと、そんな風に彼の心配をしている自分が不思議で、思わず笑みが零れた。
相手を恋愛対象として意識し出したのは、自分が先だ。だが、それだって本気になるなんて思ってもみなかった。ただの物珍しさゆえに興味を引かれたんだと思った。
その強い光を宿した瞳を好きになって。凛とした声に惹かれ、煌めく髪に惹かれ。そして、今ではその気の強さも、拗ねた顔も、君のどんなところも、全部が好き、だなんて。
過去の自分を知っている人物なら、きっと一様に間の抜けた顔をするだろう。自分でさえ信じられないのだから。こんなにも、誰かを愛しく想う、だなんてこと。
でも、本当なんだ。気まぐれなんかじゃなくて。本当に君だけ、特別で。
自分にくっついているエドワードの身体を、起こさないよう気を付けて抱き締める。そっと、でも強く、想いを伝えるように。
君が怖い夢の中で迷子になって泣いていたら、何処でも迎えに行こう。キスで涙を拭いて、その手を取って歩き出そう。君が立ち止まらないように。振り返らないように。いつでも力を貸そう。
君がいつか、全てを終えて、「弟と自分の身体を取り戻す」といったものでなく。君の、君自身の、本当の夢を語れるようになるまで。それを君が私に聴かせてくれるそのときまで。
夜が来ても。朝を迎えても。ここにいるから。いつでも支えるから。
だから。
「……いつか、君には名前で呼んで欲しいんだ」
そして。願わくは、君がいつか語るであろう君自身の夢の中に、私の居場所があるように。
そう祈って、君を腕に抱いたまま目を閉じる。
君の怒鳴り声で起こされるまでの、少しの間。
私だけの、君との時間。
えー、甘いんだか何なんだか分からなくなりました(帰れ)。
大佐がいかにエドさんを好きかを書こうとしてたはずなんですが。……あれ?(あれじゃない)
何だか微妙に大佐が切ないことになりました。でも甘い。どうなんだ。
これでは二人が一緒に寝てますが、ただの添い寝です(えー)。
大佐がいかにエドさんを好きかを書こうとしてたはずなんですが。……あれ?(あれじゃない)
何だか微妙に大佐が切ないことになりました。でも甘い。どうなんだ。
これでは二人が一緒に寝てますが、ただの添い寝です(えー)。