俺はマース・ヒューズ。軍法会議所に勤めている。様々な情報を扱うという仕事柄、勘は鋭い方だし、『こういった』ことに関しても敏い方ではあるがな。
 俺が鋭いとか、そういったことを考慮しても、こいつらの鈍さは尋常じゃないと思う訳だ。


 俺がその事実に気付いたのは、まぁ、偶然だった。
 用があって、遠路はるばる訪れた親友の執務室。そこには先客が居た。鋼の錬金術師、エドワード・エルリックだ。こいつは一応、ロイのやつの管理下にあるってことになっているからな。旅の途中に報告に寄ったんだろう、とその程度に考えていた訳だ。
 実際、こいつらの様子はそんな風だったし、それ以上のことは何もないと思っていたんだよ。

 ところがどっこい、ってな。

 相手の視線が自分から外れた瞬間の、こいつらったらなかったぜ? 豪く熱い視線向け合ってんだぜ?
 あまつさえ、切なげに溜息なんてつかれてみろ。俺じゃなくたって気付くっての。

 だってのに、どうしようもなく鈍いこいつらは、未だに片思いしあってる状態だし。老婆心から、ちょっとつついてやろうと思ってな。
 ……一応念押しとくが、誓って面白そうとか思ってないからな。

 で、豆の方はこういうこと、如何にも慣れてませんってツラだしな。経験値低そうなのに、せっつくのは可哀相な気がするしで、ターゲットはロイの野郎になった訳よ。
 『あの』ロイ・マスタングだからな。どういうつもりでこんな状況に甘んじてるのか興味あるだろ? だから、まぁ上手く聞き出したんだよ。おっと、方法については内緒だぜ。年季の勝利ってやつだ。

 そしたら、あのロイが、だ。
 何だか切なげに、一言。

「嫌われたくない」

 だぜ? 俺が驚くのも無理ないだろ。恋愛なんてゲーム感覚で遊んできた奴が、ねぇ……。
 まぁ良い変化だと俺は思ってるし、止める気もないけどな。


 二人とも色々事情もやることもある奴等だからな。そうそう簡単にくっつくことも出来ないのは分かるさ。でもよ、もう少しくらいお互いの気持ちに気付いてもバチは当たんねぇと思うんだよ、俺は。
 というか、あそこまでいくと、面白い通り越して、傍から見てるのが歯痒くてな。本当、もう少しで良いからどうにかならないもんかねぇ……。

 全く、じれったい奴等だ。そして、そんなこいつらの心配してやってる俺は間違いなく良い人だ。苦労人だ。
 そんな俺が好きだ、ってグレイシアが言ってくれるから、まぁ良いけどな。


03. じれったい奴等め
ヒューズさん大好きです。でも口調が何か違う気もします。てへ(帰れ)。
このお題見たときから「ヒューズさんで! ヒューズさんで!!」と思っていたのですが、今までにない書き方したら何ともかんとも(何)。


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