時間は深夜。大佐の家で二人きり。
 ……これってさ。「どうにか」なれってシチュエーションだよな。


 そこまで考えて、違うだろ!!と心の中で自主突っ込み。「どうにか」ってなんだ、「どうにか」って。
 オレは男で大佐も男で、年の差とかも凄くて、増してや大佐は女好きなんだ。何も起きる訳はないんだ!!!!

 さっきから同じ言葉を頭の中で延々と繰り返す。それはもう魔法のように。さっさとそれにかかってしまえれば良いのだけれど、目の前で、黙ってコーヒーを啜る大佐の視線がそれを許してくれない。
 いや、視線だけじゃない。仕草、雰囲気、大佐の纏う全てが、オレが逃げ出すのを阻止する。

 こんな状況になったのは偶然というか、不運が偶々重なっただけなのだが。お互い避けてきたことにケリをつける良い機会だと大佐は思っているのだろう。
 いや、オレだっていつかはっきりさせなきゃいけないとは思ってたさ。多分だけど、大佐がオレをどう思っているかなんか知ってるし。それ自体に、依存はない。
 でも、でもさ。


 …………今じゃなくても、良いだろ?


 ただでさえ、今オレは大佐の私服とか濡れた髪とか、見慣れないもの見て心臓が色々大変なんだ!!
 なのに、なのに、


「……エドワード」


 あぁ、許可なく勝手に人の名前呼ぶなよ。普段は銘のほうでしか呼ばないくせにさ。
 頼むから、普段と違うことしないでくれ。頼むから。


「こっちを、ちゃんと向いてくれないか」


 馬鹿言うな。そんなこと、出来る訳ないだろ。
 ちらり、と横目で大佐の方を伺う。予想通り、大佐は真剣な顔を見せていて、慌てて目を逸らす。

 ほら、やっぱり出来なかっただろ。もし、そんなことをしたら、この心臓が壊れてしまう。


05. 目が合わせられないのは
告白直前とかけて逃げるウサギと追うキツネと解きます。その心は捕まったら喰われる(帰れ)。
ふと思っただけですごめんなさい。


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