足りない、足りない、足りない。今、君は目の前にいるというのに。
「君」が、絶対的に不足している。


 ぱたん、と扉を閉じる。そして、こちらを見上げてくる大きな金の瞳とかち合って。そのまま目の前の身体を抱き締める。
 居心地が悪かったのか、しばらくごそごそと動いていたが、丁度いい位置に収まったのか、大人しく身体を預けてきた。その小さい手が迷うように私の軍服の裾を掴んできたから、安心させるように私の胸の位置に収まっている頭を撫でてやる。
 その仕草が心地良かったのか、強請るように服を引っ張られた。求められるままに、何度も優しく撫でる。それに満足したのか、服を掴んでいたその手が私の背中に回された。その幼い仕草に、思わず笑みが零れる。


「久しぶりだね、鋼の」
「うん、久しぶり」


 そう挨拶を交わして、鋼のが私から離れる。
 失った温かさに何だか心許無さを感じて、離れた身体をもう一度引き寄せて、抱き込む。

「……大佐?」

 見上げてくる瞳。ずっと、求めていた姿。
 会いたかった、そんな言葉だけでは表現しきれないほど求めていた。今こうして目の前にいても、それだけでは足りないほどに。

「……欲張りになっていくな……」

 私の小さな呟きを聞き取れなかったのか、鋼のが首を傾げる。
 そんな僅かな仕草の一つ一つが愛しくて堪らなくて。


 最初は、ただ手助けをしてやりたいと思っていた。そしてその姿をいつも見ていたくなって。いつしか、その瞳に自分を映して欲しくなっていて。
 想いが叶った今では、その体温を感じていたいと思う自分がいる。


「大佐?……どうかしたのかよ」


 エスカレートしていくこの想い。
 君が好きだ。大切だ。愛している。そんな言葉じゃ足りない。


「いや。ただ君に逢えて嬉しいだけだよ」


 どんどん君に依存していく。君が必要になっていく。
 君がいなくなるなんて考えられない。君を失うことなど考えたくもない。


「………オレ、も」


 小さく頬を染めて呟かれた言葉に、笑顔が零れる。

 君がいるだけで幸せ。
 それは、私を捕らえて離さない君だから。


01. どうやら、君には依存性があるらしい
あー……珍しくエドさんが大佐大好きですね(待て)。良かったね大佐!!


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