ばたーん!!!!!


 けたたましい音に、その部屋にいた人間全ての視線が集まる。
 音の発生元は、上司の執務室の部屋のドア。そしてその原因であると思われる少年は。

「……せくはら………」

 色をなくした顔でそう呟いて、力無く崩れ落ちた。


つい10分ほど前に、報告のために執務室へと入室していったエドワード。それ がいきなりドアを蹴り開けて、倒れ伏す。あまりに唐突な展開に、その場にいた人間の誰もが身動きできずにいた。
 何だ!? 何事だ!!?? 中で何が!!!??? いや、でも今………
「セクハラ」って……言った…よな?

 恐らく同じ事を考えたハボックたちは一様に目を合わせ、その場から離れる算段を始める。触らぬ神になんとやら。エドワードのことは可愛いし、弟のように思っているが、それとこれとは話が別だ。巻き込まれたら、最後だ。
 そんな大人たちの思惑を余所に、兄命のアルフォンスがエドワードの許に駆け寄る。


「ににににに、兄さん!!!! どうしたの何かあったの!!??」
「ぁ……アル…」


 弟の呼びかけに放心したように顔を上げるエドワード。
 しかし、その姿を確認した途端、がば、と音がしそうな勢いで起き上がり、その鉄の体に縋った。


「アル……!!! ここは危険だ今すぐ逃げようさあ今すぐにだ!!!!!」
「ええぇぇ!!?? どうしたのさ兄さん!! っていうか報告は!?」
「馬鹿言うな!!!! そんな場合か!!! 次近寄ったら、間違いなく…間違いなく……っっ」


 言葉にしたらそれが起こってしまう、とでもいった風に黙り込む。相当のことがあったのだろう、と察すると共に、あれ、でも大佐も中にいたんだよね?とアルフォンスの中に疑問も生まれる。
 とはいえ、今のエドワードの状態は、とても何かを質問出来るようには思えない。取り敢えず場所を移したほうが良いのかな、と迷っていると、そっと優しく肩を叩かれた。

 振り向くと、そこには今までいなかった筈のホークアイが立っていた。今の状況を説明したほうが、と思ったが、全て分かっているような様子なので、そのままエドワードを任せる。
 ホークアイはエドワードの視線に合わせると、真剣な表情になり。


「………大佐ね?」


 その言葉にエドワードはゆっくりと、でもしっかり頷き。
 その返答に頷いたホークアイは、愛銃をホルダーから取り出し、凛とした、綺麗な笑顔で告げた。


「こっちは私に任せて。エドワード君は頼んだわよ」


 執務室へと向かうその後姿を見送る間もなく、ハボックたちによって兄弟揃って廊下へと連れ出される。引き攣った表情で、食堂にでも行こう、何か奢ってやる、ハヤテ号もいるぞと言われれば、それに従わない訳にはいかない。連れられるまま、ぞろぞろと歩き出す。

 その後、遠くに銃声を聞きながら、幾分落ち着いたエドワードが言うことには。


「いいか、アル。これは兄として、いや、一人の人間としての忠告だ」


 曰く。
 何があったとしても、どんなことが起ころうとも、危険だから今後一切大佐には近付くな。

 ……危険なのはエドワードだけだと思う、と言う言葉は、アルフォンスを初めとした全ての人間の心の中にしまわれた。


06. アイツなんかに近付くな
……激しくお題の使い方がおかしい気がしなくも無いです(はっきりおかしいよ)。
普通この「アイツ」ってライバルとか嫉妬した相手のことだヨ!!
えーと……何だ、ほら。―――― 大佐がエドさんを好き過ぎるって事です(ぇ)。


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