自分は、愚かだ。何度も、何度も同じ失敗を繰り返す。
 失ってからしかその大切さに気付けないなんて、なんて愚かなのか。失ってからでは遅過ぎると、そう何度も思った筈だったのに。

 ずっと傍にいてくれた。気遣って、笑って、そして、そして。
 その存在は、何処までも自分にとって当たり前で、いなくなるなんて考えもしなくて。失うのだと分かったときでさえ、寂しさを感じはしてもこんな焼けつくような感情は抱かなかった。
 それがただ実感がわかなかったから故で、ガイを失うということがどんなことなのか理解出来ていなかっただけだと、今になって分かってしまった。

 何処よりも居心地が良くて、温かった場所。もう、あそこは自分のものではなくなってしまったのだ。他の誰かのものになってしまう。
 いや、もしかしたら既に他の誰かがいるのかもしれない。


(いやだ、いかないで、おいていかないで、ほかのだれかのものにならないで)


 そんな言葉は、今更過ぎる。それを言えるときはとうに過ぎてしまっていて、もう自分にはそれを言う資格なんてない。
 離れて、そして再会してやっと自覚できた想い。自分のものではなくなってから、やっと。遅過ぎた想いは、もうどうにもならない。どうにかしようなんて思ってはいけないんだ。


(ガイ、ガイがすきだ、誰よりもすきなんです)


 ただ胸の中だけで繰り返す言葉。それは当然誰にも届くことはない。
 何故か遠く感じるガイの笑顔はとても綺麗に見えて。同じように笑ってみようとした自分の胸は、人知れず軋んだ音を立てた。



(すきです、すきです、でももう、)


5. 当たり前すぎて気付けなかったなんて今更過ぎる。君が好きだ。
幸せそうに笑う君の隣はもう僕のものじゃないのに。